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お知らせ

2020年8月7日

日下先生が新書『「温かい医療をめざして」-サービスを支えるコミュニケーションー』を出版されました

日下隼人著 篠原出版新社 2,200円+税
ISBN 978-4-86705-803-9 C3047

2017年8月1日

日本経済新聞 医療・健康面「向き合う」(月曜日朝刊)の8月に佐伯が4回連載します。

いままでの活動の経緯などを書いています。

2017年8月1日

2017夏 マイインフォームド・コンセント 医療面接セミナー ご報告とご案内

日時:2017年7月26日 16:00~19:00
会場:東池袋 あうるすぽっと会議室A(東池袋 出口6、7)


当日は薬学部5年生10名と薬学部大学院生1名、医学部教員1名、薬学部教員1名とMICメンバーで、医学部生対象という当初の予定を少し変更して実習しました。実は薬学部(薬局)実習で常々感じていたことですが、目の前の患者さんが最初に医療機関を訪れたときのことを知らずに、診察や検査の結果、医師が診断の上作成した「処方箋」を手にするところからが患者さんと薬剤師のコミュニケーションのスタートになります。薬剤師は患者さんの苦しみや不安を処方薬とわずかなインタビューで想像するしかありません。また、患者さんも疲れてつらい状態で、医師に話した同じ話を薬剤師に繰り返す意欲やエネルギーも持ち合わせません。その結果、お互いに「伝わらない」感覚が生じてしまうように思います。
そこで、今回は特別に、医師(医学生)が初診面接で行う場面を薬学部学生さんにも体験してもらい、患者さんがそもそもどのようなことに困り、心配して受診されているのかを感じ取ってもらう実習をめざしました。初めて外来を受診された患者さんとの面接をとりあげ、患者さん側がもつ情報をいかに聴くことができるかに焦点を当てます。診断をつけるのではなく、患者さんの話に耳を傾け、できるだけ患者さんが自由に話せるように工夫して、理解できたことを伝えてもらいました。
学部教育では実現できない実習ですが、医療スタッフとして極めて重要な基礎教育だと思います。
来月以降も参加者のニーズに合わせて、オリジナルな医療面接セミナーを開催いたします。

16:10

試験対策ではない、患者さん本位の初診面接のあり方について意見交換しました
① 初診場面のデモンストレーション(全体) 初診面接の例を示します。
「増田太郎さん」と 〇〇な医学生役(佐伯) 面接10分程度 (実際には14分でした)
               フィードバック(医学生役、観察者、SP)5分
「増田太郎さん」と 医師役(医学部教員)  面接10分程度 (実際には15分でした)
               フィードバック(医師役、観察者、SP) 5分
               フロアーからの感想、コメント 10分

17:00

小グループで実施したので、相手の目を見ながら、真剣に面接、フィードバックしました
② グループ(学生さん2人ずつA、B + SP1名 + 見学者) (5グループ)
「〇〇〇〇さん」と 医学生役A  面接10分程度(早く終わったらフィードバック)
     フィードバック(医学生役A、観察者B、SP)5分 見学者からの感想 5分
同じ「〇〇〇さん」と 医学生B  面接10分程度(早く終わったらフィードバック)
     フィードバック(医学生役B、観察者A、SP)5分 見学者からの感想 5分
休憩10分

18:00

実際に現場の習慣や流れと、本来の薬剤師業務のあり方についても意見交換しました
③ 薬剤師(薬局)場面「小林哲夫さん」 デモンストレーション
面接時間は制限しません。初めて薬局を訪れた場面に引き続き、処方薬の説明をします。
               フィードバック(薬剤師、観察学生1名、SP)5分
               フロアーからの感想、コメント 10分
④ 全体討論「患者さんと信頼関係をつくる医療面接で大事なことはなにか」

次回予告

今回に引き続き「医療面接セミナー」を行います。
日時:2017年8月23日 16:00~(予定)
会場:豊島区東池袋 あうるすぽっと3階会議室A
申込:参加無料(「問い合わせフォーム」よりお申し込みください)
   ※ 8月21日 20時締切

2017年6月30日

2017夏 マイインフォームド・コンセント 医療面接セミナー

日時:2017年7月26日 16:00~19:00
会場:東池袋 あうるすぽっと会議室A(東池袋 出口6、7)
申込:参加無料(「問い合わせフォーム」より7月23日までにお申し込みください)


初めて外来を受診された患者さんとの面接をとりあげます。
患者さん側がもつ情報をいかに聴くことができるかに焦点を当てます。
次に、その患者さんに診察結果を伝える面接(インフォームド・コンセント)をします。
また、その患者さんに薬局でインタビューしたり服薬情報を提供する場面も行います。

セミナーの概要

初診場面 ※受講生人数に応じて複数回行う
① 面接時間は制限しません。診察に移る手前で面接は終了です
② 医師(医学生)役の感想(振り返りシート記入)
③ 観察者の感想
④ SPの感想
⑤ 討論 指導者のコメント含む

説明場面 ※受講生人数に応じて複数回行う
① 面接時間は制限しません。
② 医師(医学生)役の感想(振り返りシート記入)
③ 観察者の感想
④ SPの感想
⑤ 討論 指導者のコメント含む

薬剤師場面 ※受講生人数に応じて複数回行う
① 面接時間は制限しません。初めて薬局を訪れた場面に引き続き、処方薬の説明をします
② 薬剤師(薬学生)役の感想
③ 振り返りシート記入
④ 観察者の感想
⑤ SPの感想
⑥ 討論 指導者のコメント含む

全体討論「患者さんと信頼関係をつくる医療面接で大事なことはなにか」

2017年5月17日

「私のインフォームド・コンセント⑧」
井戸端会議テーマ「医療のお金」のご報告

日時:2017年4月26日 15:00~18:00
会場:東池袋 あうるすぽっと会議室A


 MICメンバー20名と外部からの参加者を迎えて「医療のお金」シリーズの勉強会をしました。講師のお話を拝聴するのではなく、自分たちで予習し、議論し学ぶ形態です。今回の資料は、日本経済新聞 経済面「やさしい経済学」コラム(慶應義塾大 印南一路氏)「医療費適正化政策を考える」①~⑧ と、日本経済新聞4月24日「砂上の安心網」特集です。
 前回に引き続き、メンバー全員で(声を出して)輪読しました。自分のペースで読むと、つい拾い読みの習慣が出てしまい、実は大事なことをとばしているのではないかと感じます。輪読は拾い読みに比べて時間はかかるものの、じっくり行間まで読めるメリットと、メンバー全員の知識と情報を揃えやすく、議論の土台を固めやすいのではと感じました。
 今まで個人的に参加した国や行政の審議会などでは、官僚や事務方が(早口で)読み上げ、委員はそれを聞いている場合もあれば、聞き流して会議資料をチェックしている場合もあり、必ずしも議論の土台固めがなされているわけではないと思います。議論する前提をつくるには、参加者の意識だけでなく、仕掛けも必要なのもしれません。
 さて、前回の勉強会では日本の医療制度の枠組みを少し知りました。今回の資料で、さらに診療報酬制度のわかりやすい概説があり、何が問題で、今後何をすべきかを具体的に考えるきっかけにもなりました。医療をどうするのか、年金受給年齢以降の医療は今のやり方ではなく何らかの制約を設ける必要があるのではないか、医療と同時に介護が必要になるので、必要総額から割り出してみたら? ある年齢以降の検診はやめたらどうか、国として、もっと他にお金をまわす必要があるのでは? 意見が次々と出されました。

 昨年7月に始めた大規模井戸端会議(MIC勉強会)は、インフォームド・コンセントのあり方や、地域包括ケアの実情、賢い受診の仕方といった個人として医療をどう利用するのかに関心がありました。しかし、個別の問題の根源を考えるうちに全体が見えてきて、全体のあり方を見直すことになってきたようです。個人の財布の中で留まっていた「費用負担」の観点が、前回あたりから、社会全体の中でとらえるように変わっています。個々の診療を超えて、そもそも社会保障とは、その中で医療や介護はどうあるべきか、国民としてこのまま放っておいてよいのかという焦りすら覚え始めたメンバーの熱い議論が交わされました。
 これ以上若い世代に負担をかけたくないというのが、メンバーの気持ちです。そして、もっとこの「医療の費用負担」について、多くの同年代(年金受給者)に認識してもらい、何か将来世代に役立つ動きにつなげたいという願いも抱くようになりました。
 MICの最初の井戸端会議にいらしていただいたのですが、メディアの方には、市民がこのような議論を始めていることを報道していただきたいと思います。年金受給者(それに近い年代含む)たちが、シルバー民主主義とは真逆の考えに至り始めていること、それを同年代に広めたいと思っていること、現行の年金や医療介護制度で次世代に負担をかけない方向での見直しが必至だと考えていること、それを政府に伝えたい、連帯のためにはメディアの力を借りたいと強く願っているのです。おそらく、全国のあちこちでこのような勉強会が始まり盛り上がることで、国民の意識が変わり、将来世代を考えて、制度を見直す気運につながると私は確信しています。(佐伯晴子記)

次回予告

「私のインフォームド・コンセント⑨」
「医療介護のお金」3回目 「これから何をどうするか」

日時:2017年5月24日 16:00~(予定)

6月21日は、直後に医学部6年生OSCEを控えて演技練習に充てます。

「私のインフォームド・コンセント⑩」
「医療面接実習」(MICメンバーと日下隼人氏によるオリジナル演習)

医学部で共用試験OSCE対策としてとらえられている医療面接実習の、本来の意義に 立ち返ります。学生さんには自由に本音を語っていただき、一緒に考えたいと思います。
日時:2017年7月26日 15:00~(予定)

「私のインフォームド・コンセント⑪」
第10回と同じく、「医療面接実習」を行います。第10回に出された課題も含めて、指導者、学習者、SPで(見たこともない)ディスカッションを行います。
日時:2017年8月23日 15:00~(予定)

会場:豊島区東池袋 あうるすぽっと3階会議室A
申込:参加無料(「問い合わせフォーム」よりお申し込みください)
準備の都合上、参加お申込みは、開催5日前までにお願いします。

2017年4月3日

「私のインフォームド・コンセント⑦」
井戸端会議テーマ「診療報酬制度」のご報告

日時:2017年3月22日 15:00~17:00
会場:東池袋 あうるすぽっと会議室A


 ようやく平成28年度のすべての実習とOSCEが終了しました。4月には新研修医の皆さんと実習やOSCE形式でのお手伝いが待っています。今は全員が学部での実習やOSCEを経ていますので、お作法的な医療面接は破綻がないように見受けられます。ただ、検査結果の説明の場面をお願いすると、ほとんどの方にとっては「知っている医学知識」と「患者さんが理解するため説明すること」とのギャップに戸惑われ、改めて患者本位の医療面接の難しさに気づかれるようです。難しさと同時に、患者と出会い、言葉だけでなく気持ちも通わせることの手応えや充実感を味わっていただけたら嬉しいと、私たちは準備に励みます。
 さて、この研修医の皆さんもあまりご存じないのが医療の制度だと思います。医学は習ったが医療は各自がその場で学ぶもの、とされているのでしょうか、知らないことにかけては私ども素人とさほど差がないと、研修医実習などで感じることがあります。1月25日の「医療のお金」でもっと制度そのものを知らなければ!と痛感した参加者は、各自である程度調べてきました。外部からの参加予約もなかったため、時間を早めて当会メンバーのみ20名で開催しました。資料は、森臨太郎著「持続可能な医療を創る」(岩波書店)第2章 医療財政を考える(65~100頁)  です。森臨太郎氏は、現在国立成育医療研究センター勤務で、このほど特定NPO法人日本コクランセンター理事長に就任されています。佐伯は日本コクランセンター理事を拝命しました。一般市民や患者の立場で、標準治療ガイドラインの普及を進める役割を負っています。
 資料を順番に音読しました。医療面接の模擬患者にとって、聞き取りやすい発音と発声は重要ですが日常生活ではあまり練習の機会はありません。音読は効果的な方法かも知れません。
 資料では、日本の医療財政をグローバルな視点で俯瞰したのち、日本の国民皆保険制度の実態と診療報酬制度、補助金について知識を整理していました。医療費がなぜ増大するのか世界的な傾向まで読み進み、各国の取り組み以降は各自で読むこととしました。
 どの立場かで、意見はさまざまに分かれますが、私たちにはこの国を次世代に残すうえで果たすべき責務があるのではないか、という意識が半年間の井戸端会議を通じて生まれてきたように感じます。

感想の一部をご紹介します

  • 日本の医療は無駄ばかりではないと思う。有望な内需産業かも知れない。
  • 医療ばかりを大事にしていて良いのだろうか。もっと他にお金をまわすべきことがある。
  • この国の膨大な借金をどうするのか。次世代につけを回していいのか。
  • 他分野にお金を回すべき。
  • マイナンバーで医療データを管理すべき(管理の上で、無駄を省く)。
  • 医師、製薬会社、医療機器会社、患者・・・みんなの欲望をどう制限するか。
  • 人間に与えられた宿命に向き合うべきではないか(延命、若返りなどに注力せずに)
  • このようなディスカッションをもっとメディアに報道してもらい、国民の問題意識を大きく取り上げて、国民的論議につなげてもらいたい。

次回予告

「私のインフォームド・コンセント⑧」
井戸端会議テーマ「診療報酬制度つづき」

日時:2017年4月26日(水)15:00~18:00(予定)
会場:豊島区東池袋 あうるすぽっと3階会議室A
申込:参加無料(「問い合わせフォーム」よりお申し込みください)

2017年3月1日

「私のインフォームド・コンセント⑥」
井戸端会議テーマ「医療のお金」のご報告

日時:2017年1月25日 16:00~19:00
会場:東池袋 あうるすぽっと会議室A
参加者:MICメンバー(男性7名 女性1名)


 共用試験OSCE、アドバンスドOSCE、関連の実習で12月から2月末までの時期はMICメンバーの手帳は予定が立て込んでいます。12月は練習を優先し、大規模井戸端会議は取り止めました。ホームページに記載していたのですが、期待してお運びくださった外部の方にはたいへん失礼いたしました。1月5日から講義と実習が始まりましたが、インフルエンザやノロウイルス対策を万全にし、決められた日程に良質の演技とフィードバックを提供するため、MICメンバーは本業、家事、介護も含めた日常生活にかなりの制限をかける毎日です。緊張の連続ですが、医療現場で、患者さんやご家族が安心できるコミュニケーションを医療者と実現できるよう、長い目で希望を紡いでいるのです。そんな過酷なスケジュールの1月25日の参加者は、当初予定の医療提供側(薬学部教員、医師)がそれぞれ急病欠席のため、MICメンバー(男性7名 女性1名)でした。

 医療現場でコミュニケーションを充実させてほしいのは医療を受ける立場の誰もが望むことですが、医療者のコミュニケーション教育だけでは実現不可能なことはこの20年以上の活動で学びました。ひとりひとりの患者さんを大切にしたいという思いはあっても、現実が許さない。数をこなさなければ医療機関の経営が成り立たない、ひとりあたりにかけられる時間がない、だから仕方がない、この環境で、たっぷり豊かなコミュニケーションを求めるのは、患者の贅沢なわがままだ、という空気が充満しています。そのようなご意見や感想を直接いただくこともあります。「これは理想論だから」「現場ではこんなことやっていられない」と実習で現実の厳しさを学生に伝える教員も少なくありません。「実際とは違うけど、お作法だから、共用試験に通らないといけないから、覚えておこうね」というダブルスタンダードを学生さんは強いられています。私自身は患者の立場で「こちらの話を聴いてもらえて嬉しい」とフィードバックするものの、あまり強調するとモンスターペイシェントの勝手な要望になってしまいそうで、ほどほどで抑えてしまうことがあります。
 しかし、なぜ、そうなるのか。そもそも、日本の医療の仕組み(医療機関の経営?)はどうなっているのか、コミュニケーションがぜいたくだという発想はどこから出てくるのだろうか。東京医科歯科大大学院や東大の公共政策社会人活動H-PACなどで学び痛感したことがいくつかあります。大規模井戸端会議を5回経て、参加したMICメンバーも医療を受ける立場として、もっと知るべきことがありそうだと感じてきました。テーマはずばり「医療のお金」です。

 国民皆保険制度が整備されて55年を経ましたが、多くの国民は医療保険制度について知りません。毎月、各自の保険料を納め、窓口で自己負担分を払い、高額になれば、どこからか補助がいただけるらしい程度の認識しか持ち合わせていません。その補助がどのくらいになっているのか、社会保障全体で医療のお金がどのくらいを占め、それが国全体のお金のどのくらいになり、現役世代はどの程度負担を強いられているのか、薬の値段はどうなっているのかなど、フリートークで盛り上がりました。資料は、厚生労働省ホームページ掲載の「医療保険制度」です。

感想の一部をご紹介します

  • 医療費低減策としてジェネリックの使用増が望まれるが、一方で、ジェネリックに対する不安感をぬぐう説明があまりされていないと感じる。
  • 医療保険の仕組みの知識として大変参考になった。
  • 根本的課題の対策が必須と思われるが、パッチワーク的対策で現状の延命も必要かもしれない。
  • 中学校教育に保険制度の教育が望ましいと提案したらよい。
  • 患者がコスト意識をもつことが必要。
  • 免責を設けたら?
  • 医者は全体像が見えていない。
  • 元気で70歳で死ぬのがいいかも。
  • どうしたら国民がみんなハッピーになるかを考えるべき。
  • 今の制度を維持するためにはどうするべきか。
  • 「社会連帯」に賛同できない人もふえている。
  • なぜ患者が「ピンピンコロリ」を望むのか。
  • 効率だけで整理してはいけない分野もある。
  • 保険を一本化してはどうか。
  • 自己負担1割、3割の目で見ると、10割の全体がわからない。
  • 「師」とつく有資格者に求めすぎているのではないか。

2月は12月以上にシーズンピークで準備練習だけで精一杯でした。
3月22日には、「診療報酬制度」(医療と介護)をとりあげます。各自で事前に調べて、疑問や意見を持ち寄り、井戸端会議を行いますので、よろしくお願い致します。

次回予告

「私のインフォームド・コンセント⑦」
井戸端会議テーマ「診療報酬制度」

日時:2017年3月22日(水)16:00~19:00
会場:豊島区東池袋 あうるすぽっと3階会議室A
申込:参加無料(「問い合わせフォーム」よりお申し込みください)

2016年12月1日

医療の質・安全学会の「新しい医療のかたち賞」の記念誌が発行されました。

東京SP研究会として2010年第4回で受賞しています。
https://www.qsh.jp/partner/Documents/kinenshi_2016.pdf

2016年12月1日

「私のインフォームド・コンセント⑤」
井戸端会議テーマ「合意形成」のご報告

日時:11月23日 16:00~18:00
会場:東池袋 あうるすぽっと会議室A
参加者:MICメンバー(男性13名 女性1名)、企業コンサルタント1名、
    薬学部教員(薬剤師)1名、元社会福祉協議会職員・看護師1名、合計17名

長年東京SP研究会の活動を続けていたメンバー2名が家庭や仕事の事情で引退する送別会開催のため、井戸端会議を2時間版にしました。


 過去4回の井戸端会議で、一般市民への周知や情報が不足している現状が明らかになりました。納税者である住民が行政や社会的サービス提供者と情報を共有しなければ、制度や専門職の仕事を理解し納得することは不可能で、信頼も感謝もできないのです。必要なのは、住民自らが勉強するだけでなく、メディアや行政による周知や啓発活動を盛んにすることというのが、参加者の認識でした。周知や啓発の結果、現状を知り、住民として将来に目を向けて、賢い選択をしたいと思います。個人や世代の損得勘定ではなく、今後30年、50年先を見通して、今何をすべきなのかを考え実践するプロセスでは、さまざまな段階や領域で、当事者と関係者の合意形成分が欠かせません。
 今回は、領域や規模は問わず、合意形成の模索の経験を分かち合い、何らかのヒントを得たいと企画しました。人口減少で限りある財源のなか、高齢者の多死時代を将来世代への負担に頼りすぎずにいかに乗り越えるかという課題に直面するいま、医療介護を地域自治の一分野ととらえ、当事者である利用者、患者、住民が政策や制度づくりに参画し一つ一つ合意形成のプロセスを重ねていくしかないのではないかと感じています。

 資料としては、高山義浩著「地域医療と暮らしのゆくえ」(医学書院)からP81~85(プライマリ・ヘルスケアにおける5つの原則)とP58~63(戦後史は団塊世代とともに)を引用させていただきました。この場を借りてお礼申し上げます。この資料で、戦後日本の医療政策の歩みと少子高齢多死時代を概観し、施策「住民参加による医療改革の現実」コラムに刺激を受けました。

 井戸端会議の方法は、同じ立場の「長屋」4つで資料の感想を話し合い、長屋ごとに発表し、全体で感想を共有し、次に全体で自由な意見交換を行いました。マンション管理組合や自治会の理事経験は参加者の多くに共有できるテーマで、個人の所有財産の集合を共同体として健全に維持運営していく難しさは、昭和の建築物や社会インフラの老朽化対策の途方に暮れる課題の大きさにも通じると思いました。そこの住民や当事者が結果を引き受けざるを得ない現実の厳しさもあり、医療介護だけが世の中の解決すべき課題ではないことを痛感しました。

感想の一部をご紹介します

  • 地元の課題からも合意形成の基本には、情報の共有・公開があると実感しました。
  • (井戸端会議に)もっと外部のメンバーをふやせないか。
  • 皆が積極的に発言できていたのが良かった。
  • 協議するテーマを前提条件としてもう少し明らかにしてもらいたい。
  • テーマを広範囲に考えられたので自由に話せた。
  • 高齢化の進展と医療と介護の体制にかかわる2025年問題を考える機会になりました。
  • 医療に対する「合意形成」についての理解が進んだとは思えない。もっと努力が必要。
  • おもしろい話が聴けた。マンション管理はこれから大きな社会問題になってくると思う。
  • やはり外部参加者が3名くらいいると話題が広がります。
  • 身近な話題になり参加できた。 医療をテーマにした「合意形成Part2」を希望。
  • 種々の経験を聞かせて頂いて良かった。テーマをもう少し絞った方が話を進めやすいと感じた。
  • テーマを離れたことでも発表できることで、いろいろな話題が聞けた。
  • 医療にこだわらず、色々なトピックが聞けて良かった。
  • ほぼ全員の生々しい発言が聞けて良かったと思います。
  • ややもすると議論が拡散する危険を心配します。願わくば具体的な行動の方向性が見えればと感じました。
  • 次回以降のテーマとして「家族とは?」「どういう形で合意形成?」希望
  • 短い時間でよく発言をくみ上げていたように思います。 次のテーマとして、薬に関する本音の話題(様々な観点から)

さて、当初12月15日も開催を予定していましたが、模擬患者活動の準備と練習に時間を充てるため、大規模井戸端会議「私のインフォームド・コンセント⑥」は2017年1月にいたします。

次回予告

「私のインフォームド・コンセント⑥」
井戸端会議テーマ「医療のお金(薬剤)をめぐって」
話題の高額抗がん剤に関しても
日時:2017年1月25日(水)16:00~19:00(従来の3時間版です)
会場:豊島区東池袋 あうるすぽっと3階会議室A
申込:参加無料(「問い合わせフォーム」よりお申し込みください)

これからも、市民と専門家をつなぐ試みを考えてまいりますので、是非、続けてご参加いただけますと幸いです。また、お知り合いの方にもお声をかけていただき、立場を越えた井戸端会議から、何か手応えを得たいと思います。メディアの方の参加もお待ちしています。お申込みはホームページ問い合わせフォームをご利用ください。

2016年10月31日

「私のインフォームド・コンセント④」
井戸端会議テーマ「在宅療養(リハビリ、看取り含む)」のご報告

日時:10月21日 16:00~19:00
会場:東池袋 あうるすぽっと会議室A
参加者:MICメンバー(男性9名 女性4名)、MICメンバー医師1名、
    元社会福祉協議会職員・看護師1名、合計15名
    当日発生の鳥取県地震で親戚の連絡のためMICメンバー1名が急遽欠席
    しましたが、他にも同様の理由で参加が叶わなかった方もあると思います。


②「かかりつけ」③「地域包括ケア」の続きとして、④「在宅療養」をとりあげた理由は、言葉じたいは難しくはないが、実際にそれが用語として具体的に何を意味しているのかが、一般市民には届いていないように感じていたからです。

 国が推し進める計画に沿ってほとんどの医療や介護の現場が動いているのですが、医療や介護の受け手である国民(一般市民)は、受け取る医療や介護の中身について満足や不満足、あるいは疑問を覚えます。その疑問がどこから生じているのかまで突き止める余裕や習慣がないままに、不具合に遭遇しては「よかった」から「こんなものなのか」「おかしい」まで様々に感じます。
 しかし、上記②③と続けてきて、今起きていること、今後計画されていることを知らなければ医療や介護を自分にとって適切に受けられないかもしれないと、制度そのものを知り理解する必要を痛感してきました。 そこで、今、私たちの国は医療介護について、どこを向いていこうとしているのかをざっくり知るために、1枚の資料を引用しました。厚生労働省医療計画の見直し等に関する検討会(平成28年5月20日)の資料5「医療・介護制度および関連施策に係る検討会のスケジュール」というものです。また、②③の経験から今回の④では、事前に各自の地域での「在宅療養」に関して調べて参加することにしておきました。「在宅で看取る」医師の記事や、28年度診療報酬の資料なども用意しておりましたが、参加者の経験や意見を交換するだけで会場は季節外れの熱気に包まれました。

井戸端会議の方法は、①②③と同じく、同じ立場の「長屋」4つで資料の感想を話し合い、長屋ごとに発表し、全体で感想を共有しました。次に、メンバーをシャッフルし多様なメンバー構成の「仮想地域」4つをつくり、国が進める「在宅療養」について疑問点をあげ、「在宅療養」を患者(本人・家族)・住民のニーズに沿わせるためには、何にどのような工夫があればよいのかを話し合い、仮想地域ごとに話し合いの内容やアイデアを発表。最後に「在宅療養」をめぐる患者・住民と医療を提供する立場や行政との考えを近づけるための道筋を各自で考えてみました。

感想の一部をご紹介します

  • この計画表は経済的に豊かな時代に考えられたのではないか?大家族主義が前提になっているが、現実は違う。
  • 「たたみの上で死にたい」と皆が願っているというのは本当だろうか?信じられない。家族で面倒みるのは不可能だ。
  • 介護されている人は幸せか?
  • 在宅というのは、在宅ワークと同じに「自宅」だけを指すのだと思っていた。施設も「在宅」になることを知って資料を読めば、まったく理解は異なる。
  • 家族制度の崩壊が原因と思われるが、どうすれば食い止められるか。人口増をどう図るか。
  • 社会としてどう考えるかが重要。とはいえ、国民的合意をどう形成するか、難しい。
  • アットホームで、それぞれ思ったことを発言できる雰囲気がとてもよい。
  • もっと外部の方の意見を聴きたいので、参加を促してほしい。
  • 家族で在宅療養の話をしてみたい。
  • 終末期の過ごし方について、まじめに考えられました。終末期医療をどこまでするか。
  • 非常に難しい問題であること、自分の身にこれからふりかかるであろうこととして考えさせられました。
  • 在宅医療でも本人も家族もほっとする場があると良いと思いました。
  • 言葉と実が違うことがわかったことは良かったと思いました。
  • 毎回知らないことが出てくる。「在宅」という言葉もこれ程の理解に分かれていることに驚いた。前回とも共通して本意を知る場も、もっと広げてもらいたい。それが本日取り上げられ良かった。

主催者から

 同じ年代、似た学歴や職歴であっても、個人の死生観や家族観はくっきりと異なり、「国民の希望」などと一括りにするのは不可能だと感じました。しかし、医療・介護の制度や専門職種の人たちは「住み慣れた家で家族に囲まれて見守られながら穏やかに旅立つ」のを揺るがない価値にすえているようです。「住み慣れた家や部屋ではなくて、たった一人で、苦しみながら息絶える」ことになるのは、それほどダメなことなのだろうか。災害、事故、犯罪、戦争という場合もあれば、事情あって一人で命の始末をつける選択をすることもあるだろう。いろいろあってこの世での生を終えるのだが、その終え方に医療者(介護含む)や第三者や国が良し悪しをつけて、「良い死」を押し付けるような流れ(例:ACP)が、佐伯には窮屈に思えるのですが、いかがでしょうか?

次回予告

「私のインフォームド・コンセント⑤」大規模井戸端会議テーマ「合意形成」
日時:11月23日(勤労感謝の日)16:00~18:00(今回は2時間バージョンです)
会場:豊島区東池袋 あうるすぽっと3階会議室A
申込:参加無料(「問い合わせフォーム」よりお申し込みください)

 ここまで4回の井戸端会議で、一般市民は何も知らない、知らされていないという現実が浮かび上がりました。メディアは、行政は何をしているのでしょうか? 住民は何をしていたのでしょうか? 今までは一般住民への周知や情報の足りなかった部分に光を当ててきましたが、では、これからどうするのかも考えたいと思います。合意形成という用語で捉えていなくても、日常の暮らしや仕事で、合意形成が必要な場面は数多くあります。規模を問わず成功例、失敗例、渦中の例から示唆を得たいと思います。可能な範囲で、実例をお持ち寄りください。

2016年10月6日

「私のインフォームド・コンセント③」
井戸端会議テーマ「地域衣包括ケア」のご報告

日時:9月22日 16:00~19:00
会場:東池袋 あうるすぽっと会議室A
参加者:MICメンバー(男性11名 女性2名)、MICの友人(男性1名)、
    メディア・プランナー(女性2名)、元社会福祉協議会職員・看護師1名、
    リハビリ教員1名、医師2名、合計20名(リピーター17名)
資料:問題提起の資料として、「地域包括ケア サクセスガイド」
                 田中滋監修 メディカ出版から引用
   参考資料として、「平成28年度診療報酬改定の目指す方向」
              平成28年4月21日 厚生労働省 保険局 医療課
           「まるごとシニアガイド」荒川区平成28年版

などを活用いたしました。この場をお借りしてお礼申し上げます。


井戸端会議の方法は、①②と同じく、同じ立場の「長屋」4つで資料の感想を話し合い、長屋ごとに発表し、全体で感想を共有しました。次に、メンバーをシャッフルし多様なメンバー構成の「仮想地域」4つをつくり、「地域包括ケア」が患者・住民のニーズに応えて機能するためには、何にどのような工夫があればよいのかを話し合い、仮想地域ごとに話し合いの内容やアイデアを発表。最後に「地域包括ケア」をめぐる患者・住民と医療を提供する立場や行政との考えを近づけるための道筋を各自で考えてみました。

感想の一部をご紹介します

  • システムそのものに対する無知を知った者が多かったと思う。
  • 現場で活躍している方の話を聞けた。
  • しかし、あまりに遠い道のりを感じた。
  • テーマを与えていただき、地元の状況を改めて知る機会となりました。次回予定のテーマも直結することなので、関連する方々に遭って意見を聴取したいと思います。
  • 地域包括ケアについて全く知らなかったので、自分の地域がどのようになっているか確認する意識が高まった。
  • 言葉は聞いたことがあるのに内容についてはほとんど知らず、今回問題点も分かり良かった。
  • 行政のメンバーがいれば良い。
  • いろいろな視点・考えがあることに気づかされた。
  • 地域包括ケアシステムについてあまり考えたり調べたりしてこなかったので、勉強になったと同時に、もう少し若い人も関心をもたなければと思えました。
  • お話しやすいメンバーの方々と意見交換できたこと、勉強になりました。
  • 小さな会でコミュニケーションがとりやすかった。
  • 専門家にとっては当たり前のことが、一般の人に全く届いていない! 情報不足を痛感した。
  • 制度ありきではない捉え方が必要だと思いました。行政サイドの方にも参加してもらいたい。
  • もっと外部の参加者が増えると良いと思いました。
  • 一般市民の方のお考えになっていることが知れたこと。グループシャッフルいいですね。自分(市民)が改善できることを意識すること、批判だけでなく。

次回予告

次回は、「在宅療養(リハビリ含む)」をとりあげます。
家族やボランティアの介護力を前提として考えられているなら、絵に描いた餅に終わること必定。どんなことが求められているのか。自分の住む地域について下調べをしておいたり、家族介護での経験をまとめておいたりしてご参加いただけると、井戸端が盛り上がると思います。

日時: 10月21日(金)16:00~19:00
会場: 豊島区東池袋 あうるすぽっと3階会議室A
申込: 参加無料(「問い合わせフォーム」よりお申し込みください)

当日は、13時~15時55分まで模擬患者活動のための練習や打合せをしているため、16時開始とさせていただきます。ご理解のほどお願い申し上げます。

2016年8月30日

「私のインフォームド・コンセント②」井戸端会議テーマ「かかりつけ」のご報告

日時:8月11日 16:00~19:00
会場:あうるすぽっと会議室A
参加者:医師2名、薬剤師教育関係者1名、医療機器メーカー関係者1名、
    豊島区民の方1名、MICメンバー(医療を受ける立場の男女)19名
資料:日医総研ワーキングペーパー№294「かかりつけ医機能の強化に向けた調査研究」
         〃      №331「第5回 日本の医療に関する意識調査」

上記2点から一部を抜粋して共有させていただきました。
この場をお借りして感謝致します。

問題意識

「かかりつけ」と「行きつけ」に違いはあるのか? 医療を受ける立場からすると、本来違いは無いのではないかと思います。行きつけの美容室、行きつけの食堂、行きつけの商店… つまり、利用者の視点に立つと、日常生活の基本的な部分を形成しているのが、「行きつけ」感覚だと思います。では、なぜ、「行く」のではなく、「かかる」という動詞で表現するのでしょう?「かかりつけ」という言葉に対して医療を受ける立場の人たちは、どんな期待や思いをもっているのでしょう? お膳立てをした側と、それを受ける側(財政的に支える側)との間に、「かかりつけ」を巡って何が起こっているのか、まずは、井戸端会議で現状を洗い出してみたいと思います。

手順:7月10日の大規模井戸端会議と同じ手順です。
   講師はおかず、参加者全員が参画します。

  1. 医療関係者「長屋」1グループと一般市民「長屋」4グループに分かれて資料の感想を共有。
  2. 立場関係なく「地域」を再編成し、「かかりつけ」が患者・住民のニーズに応えて機能するためには、何に、どのような工夫があればよいか討論し、発表。
  3. 「長屋」「地域」井戸端会議の内容を現実に生かすために、「かかりつけ」をめぐる患者・住民と医療を提供する立場での考えを近づけるための道筋を考える作業を行いました。

参加者の感想から

  • 「かかりつけ」の意味と課題を知るきっかけになった。
  • 医療関係者の話から現状がよくわかった。知らないことが多く、大変参考になった。
  • 基本的な主観の入らない言葉の定義などを共有してから話し合ったほうがよいように思った。
  • かかりつけ医、かかりつけ薬剤師の制度については認識不足で多いに勉強になった。要求するイメージ通りの医師、薬剤師になる制度を期待します。
  • 「かかりつけ」という言葉のうちに隠れた制度上の問題点を知る機会となった。
  • 難しい用語の解説集などは事前に配布してほしい。
  • 患者は「かかりつけの総合病院」と思い頼っていたが、総合病院は「かかりつけ」ではないのか?
  • かかりつけ医、かかりつけ薬局の意味がはっきりした。自分が思っていたのとは違った。
  • 医療を受ける立場から率直な意見を聞くことができた。一般の方々の医療制度についての理解について知ることができた。医療制度についての知識のギャップに戸惑った。

「かかりつけ」という手垢のついた言葉に、患者側が寄せる期待の中身と、制度や仕組みが謳う「かかりつけ」の具体的な機能や役割分担とでは、予想以上に隔たりがあり、驚きの連続でした。

次回は、さらに混迷が深いと思われる「地域包括ケア」をとりあげます。そもそも「地域」とはどこを指すのか。自分はどこに属していることになるのか? いったい何を包括するのか? 住民は何を知っている必要があるのでしょう? 住民の要望が生かされるのが「地域包括ケア」であればよいのですが、実際はどうなのでしょう? できれば、ご自身のお住まいの自治体でどのような計画があるのか、事前に調べて参加いただけますと、「知らなかった」ことの発見で終わるのではなく、少しでも知った上で議論できると、「住民の参画」が一歩進むのではないかと主催者は期待いたしております。
初秋のひとときをご一緒できますと幸いです。(佐伯晴子)

次回予告

「私のインフォームド・コンセント③」井戸端会議テーマ「地域包括ケア」

日時: 9月22日(木・祝)16:00~19:00
会場: 豊島区東池袋 あうるすぽっと3階会議室A
申込: 参加無料(「問い合わせフォーム」よりお申し込みください)

予告

10月21日 16:00~19:00「私のインフォームド・コンセント④」テーマ「在宅療養」
11月23日 16:00~19:00「私のインフォームド・コンセント⑤」テーマ募集中

2016年7月22日

7月10日「私のインフォームド・コンセント①」ご報告

 参院選投票日のお忙しいところ、約50名の参加を得て、13時から17時まで大規模井戸端会議を行いました。シンポジウムの原義に立ち返り、=自由討論=話し合い=井戸端会議という解釈で、講師を置かず、参加者全員が大事な主役として発言しました。前半は医療者長屋、メディア長屋、一般市民長屋という立場を同じくするメンバーで「長屋」を構成し、敷居の低いところから和気藹々。各長屋での話題を発表し合い全体で共有。後半は、全メンバーをシャッフルし、異なる立場で「地域」を構成し、事例の改善策を話し合いました。人数の関係で、「無医村」も出現してしまいましたが、前半からの熱気はそのままでした。最後に各自の立場で、「患者や家族が理解・納得し、意思決定するための、改善の道筋」を短期、中期、長期の3段階の目標で考え、感想とともに発表し、共有しました。参加者からは「普段話し合うことのない異なる立場の人たちと一緒に考える機会になった」との声が多数あり、立場を越えた井戸端会議を今後も続ける必要があると確信しました。

次回予告 「私のインフォームド・コンセント②」

日時: 8月11日 16:00~19:00
会場: あうるすぽっと会議室A
申込: 参加無料(「問い合わせフォーム」よりお申し込みください)

テーマ: 「かかりつけ」

「かかりつけ」と「行きつけ」に違いはあるのか?
いきなりの質問で恐縮ですが、医療を受ける立場からすると、本来違いは無いのではないかと思います。行きつけの美容室、行きつけの食堂、行きつけの商店…
つまり、利用者の視点に立つと、日常生活の基本的な部分を形成しているのが、「行きつけ」感覚だと思います。なぜ、「行く」のではなく、「かかる」という動詞で表現するのでしょう?
国が決める政策、医師会・歯科医師会・薬剤師会等の広報、メディアに流れる用語・・・
「かかりつけ」という言葉に対して医療を受ける立場の人たちは、どんな期待や思いをもっているのでしょう?お膳立てをした側と、それを受ける側(財政的に支える側)との間に、「かかりつけ」を巡って何が起こっているのか、まずは、井戸端会議で現状を洗い出してみたいと思います。

予告 「私のインフォームド・コンセント③」

日時: 9月22日 16:00~19:00
会場: あうるすぽっと会議室A
テーマ: 「地域包括ケア」
申込: 参加無料

2016年6月28日

一般社団法人マイインフォームド・コンセント(MIC)
設立記念シンポジウム&自由討論 参加無料

2016年7月10日(日)13:00~17:00「私のインフォームド・コンセント①」

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法人設立趣旨

一般社団法人マイインフォームド・コンセント 理事長 佐伯晴子

 2016年4月に一般社団法人 マイインフォームド・コンセント(略称MIC)を設立しました。従来の東京SP研究会の活動内容を継続し、さらに、患者だけでなく利用者や一般住民の立場で活動範囲を広げ、よりよい社会づくりを目指します。
東京SP研究会を1995年4月に設立して以来21年間、患者の立場と視点から、医療者のコミュニケーション研修や教育のお手伝いを続けてまいりました。共用試験の本格導入から10年経ち、全国の医学部教育でコミュニケーションによる患者さんとの信頼関係づくりが「基本的な学習項目」として位置づけられ、医療面接実習や試験の場では医療者の自己紹介や「共感的態度」は常識となりました。患者役を演じる模擬患者(Simulated Patient あるいはStandardized Patient 略してSP)との練習や試験は全国で実施されるようになり、学内外のSPと呼ばれる人は急増しました。
 ただ、SPとのコミュニケーション教育の機会は増えたものの、患者がみずから考え意思を決めるインフォームド・コンセント(Informed Consent 主語は患者)の理念が浸透したかと言えば、心もとないのが現状です。医療現場では、「ICを取る」と表現されることが多く、取る人が主語であるかのようなとらえ方をされています。私が個人的に参加する臨床倫理の勉強会でのディスカッションや、倫理審査委員として見る文書や、医療福祉介護政策の議論などの端々にも、医療者や専門家が主導(主語)で、患者や利用者、住民は受け身であって、主体(主語)としては考えられていないと感じることがあります。表面的な「患者さんとの良好なコミュニケーション」が増えた分よけいに患者の主体的参加との距離を感じてしまうのかも知れません。しかし、あくまでも患者(家族)や利用者あるいは住民が、その人にとって十分な情報を得て、そのうえで意思を決めることが重要だと考えます。
 また、医療介護福祉の場で患者や家族、利用者がかかえる、自分のことなのに自分で決められないもどかしさや無念は、専門家とのコミュニケーション場面に限らず、制度や仕組みそのもの、関連分野の説明文書、文化や慣習がもたらしていることが少なくありません。専門家がよかれと思って作ったものが、患者、利用者、住民にとってわかりにくく、意味が伝わらないことが多いのです。必要な情報を得て安心して暮らしたい、次世代のために賢く生きたい、そんな思いの市民がふつうに求める「わかりやすさ」を実現し、専門家への信頼を深め、よりよい制度、政策づくりにも貢献したいと考えています。

 今回の設立記念行事では、医療や介護の受け手や家族としての体験事例をとりあげ、自由な意見を出し合う機会にします。 一般市民、医療福祉介護の関係者、他分野、行政、メディア・・・大規模井戸端会議で、あえて「そもそも論」!から始めようと思います。

第1回の話題提供

(高齢家族の外来受診に付き添ったAさんの体験記©MICから)

 ・・・ある時、担当の先生から次の受診前に検査を受けるよう予約をされました。
検査にはCT検査も入っており、当日は受付で案内されるままにCT検査室へ移動しました。何人もの検査待ちの患者さんが黙って座っている不安な空気・・
暫くして検査室の担当者から名前を呼ばれ、CT検査を受けるにあたり説明文書を渡されました。
検査の同意書でしたが、「内容に同意したら記名をして下さい」との事。
〝今回のCT検査は造影剤としてヨウドを使用する事でより精度の高い画像を得ることができます。まれにヨウドにアレルギー反応を起こす可能性があり、過去にヨウドでアレルギー反応があった場合は申し出て下さい〝との内容文でした。
 母が今までヨウドでアレルギーが起きたかどうか分かりませんし、ヨウドでのアレルギー検査もした事が無く、咄嗟にどうしたらよいのか迷いました。
再び検査室の担当者から「同意書の記入は終わりましたか?」と提出を迫られました。
検査の順番が近い事は分かっていましたが、アレルギーがあるか否か分からないのに同意書にサインするのは、どうしても出来ないと思ってしまいました。
「今までヨウドでのアレルギー検査は受けたことが無く、大丈夫ですとは言えないのですが・・どうしたらよいでしょうか?」と尋ねてみました。
「同意書を出していただかないと検査が受けられません」と言われたので
「もし、ヨウドのアレルギーが起きてしまったらどうなるのでしょうか?」と質問しました。
「その時には病院でそれに対する治療をする体制があるので大丈夫です。」と何とも不安な答えをいただき、余計に迷いが大きくなってしまいました。
緊急で手術を受け、幸いに命が繋がった母を思い、手術で命が助けられたのに、検査のアレルギー反応で大変な状態になってしまったら、手術は何のために受けたのか?
それに同意することは、やはり出来ないと思いました。

進め方の概要

同じ立場の「長屋」別井戸端会議→長屋を越えた「地域」井戸端会議→全体会議と進めます。井戸端会議では一般の立場からの生の声を最も大事にしたいと思います。
最後に、患者や家族が理解・納得し、意思決定するための、改善の道筋を考えてみます

会場

あうるすぽっと3階会議室B
豊島区東池袋4-5-2 ライズアリーナビル3F「メトロ 有楽町線 東池袋駅」6・7出口直結
アクセス:https://www.owlspot.jp/access/index.html

お申込み

MICホームページの「問い合わせフォーム」よりお申し込みください。

懇親会(要予約MICへ7月9日24時まで)
豊島区庁舎2階「梅蘭」会費4,000円着席・飲み放題

予告

シリーズ井戸端会議と医療介護コミュニケーションセミナー(参加型)
第2回 8月11日(木祝) 16:00~
第3回 9月22日(木祝) 16:00~
会場:あうるすぽっと会議室A

2016年4月28日

一般社団法人マイインフォームド・コンセント
設立記念シンポジウム&自由討論 参加無料

2016年7月10日(日)13:00~17:00「私のインフォームド・コンセント①」

医療や介護の受け手や家族としての体験事例をとりあげ、自由な意見を出し合う機会にしたいと思います。
まずは、いろいろな状況があることを、さまざまな立場の人が知る、なぜそうなのかを考える、どうすればいいのかを考える・・・結論は出なくても、進むべき方向のヒントが見えるかも知れない・・・②、③、と続けるうちに具体的な方策に繋がればという願いも込めています。

一般市民の方、医療福祉介護の関係者、他分野、行政、メディアの方・・・
大規模井戸端会議で、あえて「そもそも論」から始めよう!
それが、次世代のよりよい社会づくりを考えるには必要だと思うからです。

会場:あうるすぽっと3階会議室B(東池袋駅直結)
https://www.owlspot.jp/access/index.html
東京都豊島区東池袋4-5-2 ライズアリーナビル3F
「東京メトロ 有楽町線 東池袋駅」6・7出口より直結
「JR池袋駅」(東口)より徒歩10分 ※JR池袋駅 東口を出てグリーン大通りを直進
「あうるすぽっと」には専用の駐車場はございません。ご来館の際は公共交通機関をご利用ください

懇親会:豊島区庁舎2階 梅蘭 会費4,000円 着席・飲み放題

申込方法:参加申込は「問い合わせフォーム」をご記入ください。